「あ…、そうだ、そろそろチョコ固まったと思うんですが、食べます?」
「おー有難う!もらうもらうー」
小走りで冷蔵庫のチョコを見る。
軽く触れると、程よい堅さになっていた。
これで、もっとあたしの一部をデンジさんに捧げられるわ
「デンジさん、出来てましたよ!召し上がれ♪」
「おうこれまた美味そうだ!いただきまーす!」
じっとデンジさんの表情を見つめる。
美味しそうに頬張ってくれている。
髪の毛が入ってるのには気付いてないみたいで、よかった
だって、気付かれないように細かく切ったものね
「ヒカリ、これも美味いよ!やっぱお前凄いな」
「あ、ありがとうございます!デンジさんに褒められると、凄い嬉しいです…」
「あはは、大袈裟だな!可愛いけどな」
「……デンジ、さん…」
「ん?」
そんなに言ってくれるってことは、デンジさんもあたしを好きでいてくれてるんですよね?
絶対そうだ。
だって、あたしとデンジさんはずっと一緒にいたんだもの
デンジさんもあたしを好きに決まっている!
「あたし、デンジさんが大好きです…」
「………はは…ヒカリは、可愛いな」
「冗談とかじゃないです。ほんとに、デンジさんが好きで…」
「………」
「あたしは、ずっとずっと、デンジさんが好きで!」
何故か、黙ってしまった。
少し伏せていた顔を上げて、あたしを見て、
口を開いた。
「ごめん…」
……あれ?
いま、なんて?
あ、わかった。からかってるんだ。
きっとそうだ。
デンジさんがあたしを拒む理由なんてないもの。
きっと、嘘って言ってくれるわ。
うん、そうにきまっている。
拒ム理由ナンテ、無イモノ
「俺、ヒカリのこと、妹みたいに想ってるからさ…付き合えない」
妹?
何いってるの?
はは、冗談がうまいんだね
でも、全然笑えないよ、デンジさん。
「嫌…」
思わず、デンジさんの腕をぎゅっと掴んだ。
力をこめて、掴んだ。
あたしの爪がデンジさんの腕に食い込んで小さな傷を作った。
ああ、あたしデンジさんを傷つけた
だめだ、だめだよ
でもデンジさんもだめだよ
あたしを愛さないとだめだよ
デンジさんはあたしのなんだから
ねぇそうでしょう?
「デンジさん…あたしのデンジさん…あたしは、だれよりデンジさんがすきで…」
「つ…ヒカリ!」
「いや、いやだ。デンジさんはあたしのでデンジさんはあたしをあいさなきゃだめ!」
「…痛」
聞こえない
何も聞こえない
デンジさん
振り解かないんですね、あたしのこと
優しいデンジさん
優しい声が、今はあたしを蝕んで
「ヒカリ!」
「……!…あ、たし…デンジさ…ごめ、なさ」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!ごめんなさい、デンジさん!
あたし、デンジさんをきずつけて、ごめんなさい!ごめんなさい、デンジさん…っ」
なんてことをしたの?
デンジさんにだけは、傷を作らないって決めたのに
デンジさんの腕に、あたしの爪痕が、残って、
血が、滲み出ている。
血が、赤い、血が、あたしが、つけた、傷が
「ごめんなさい…デンジさ、ごめんなさい…」
「大丈夫だよ、ヒカリ…俺も、ごめん…」
ああ、デンジさん
なんであなたはそんなに優しいのですか?
あなたが謝る理由はどこにもないのに
あたしは、あなたを傷つけたのに
「デンジさん…ごめんなさい…何回言っても、足りません…」
「気にするなよ、こんな小さな傷だぞ?
こんなに優しいヒカリを振った、神様から俺への罰だよ。」
「でも、あたしがデンジさんを傷つけたことは、事実です…あたしは、謝らなきゃ…!」
「俺が振らなきゃヒカリが傷つけることもなかっただろ?だから、いいんだよ」
優しいデンジさん。
あたしが落ち着くまで、抱き締めていてくれたデンジさん
やさしくて、温かいデンジさん…
ああ、もっと好きになってしまった
でも、もうだめ
あたしは、デンジさんの「妹」のような存在なんだから
だから、あたしは
デンジさんの思い通りの妹でいよう
デンジさんが愛してくれる、妹として
邪魔者を排除していくんだ!
そうだ、妹としてずっとデンジさんの傍にいるんだ
デンジさんが望む妹として、デンジさんと一緒にいるんだ
妹という立場を利用して
あの女をデンジさんから遠ざけてやる
たとえ、デンジさんがあの女を好きでも
あの女だけは許さない
「ありがとうございます…取り乱しちゃって、すみませんでした…」
「もう気にすんなよ!なんか気になったら、家来いよ?泊まってもOKだしさ」
「は、はい!……今度からは、妹としてデンジさんを守りますから!」
「はは、頼もしいな!じゃあな、ご馳走様。超美味かったぜ!」
デンジさん
今度から「妹」として毎日ご飯作りますね
もちろん、またあたしの血液入れますから
「妹」としていつも身の回りのことしてあげます
ずっとずっと、あなたを見つめて生活しますからね
あたしは、あなたの望むままに
あなたに近寄っていきますから
あたしがデンジさんを守りますから…安心して下さいね
だって、あたしはあなたの妹ですから
好きですよ、デンジさん…
毎日24時間あなたを想って、あなたの為に行動します
デンジさん、デンジさん…デンジさん
『家来いよ?』
いっぱい、行きますね♪
だって、デンジさんのいる所があたしの居場所なんですから
あなたの為に、毎日毎日毎日毎日毎日毎日行きますよ
そう、
妹として、最も近い所へと行くのです…
鳩時計を見上げると、5時10分を指していた。
この鳩時計を見る度、あたしは微笑む。
今日は、気付いていなかったけれど。
ちゃんと、気付いてくれますよね?
鳩時計だって、ピアスだって、この指の傷だって
いつもあなただけ考えて行動してることもあなたに見せる表情は特別なことも
あなたのことならあたしはなんでも知ってるってことも。
わかりますよね?
あたしは「妹」ですもの。
ああ、
デンジさんデンジさんデンジさんデンジさんデンジさんデンジさんデンジさんデンジさんデンジさんデンジさんデンジさん
デンジさんデンジさんデンジさんデンジさんデンジさんデンジさんデンジさんデンジさんデンジさんデンジさんデンジさん
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さっさと、あの女を消してしまいたい
そうすれば、デンジさんはあたしだけを見てくれるようになる?
きっとそうだわ!だってデンジさんはあの女に誑かされているからこそ、
あたしを「妹」として見ているって告げたのよ。
うん、そう。全てはやっぱりあの女の所為だ。
邪魔 なのは、 あいつ だ。
あの女が死んじゃえば、すべて解決するんだ!
「うふふ、そっかぁ。そうよ、そうだわ!あははははははは!!
なぁんでこんなこと、気付かないでいたのかしら!!
ふふ、…ははは!そうよね、殺してしまえば、早いのよ…あはは!」
ずっと前から、壊れればいいと思ってた。
でもそうよね、自分で動かなきゃだめだよねぇ?
勝手に壊れるなんて、それこそおかしいもの。
あたしが、殺せばいいんだ。
あたしが、デンジさんの為に、あの女を殺すの!
あはははは!!なんて良い案なの、可笑しくてたまらない!
どうして今頃気付くのかしら!ああ、あたしもあの女も滑稽で笑えるわ。
「…ふふ…まっててデンジさん…あなたのために、あいつを…ふふふっ…
あなたとあたしのうつくしいみらいのために、あのおんなを…殺しますから…あはは!」
to be continued...